カンボジア旅のはじめ方:出発前に読んで安心する完全版

はじめに

悠久のアンコール遺跡、メコンに抱かれた大河文化、そして東南アジア屈指の成長スピードを誇る都市風景――カンボジアは歴史とエネルギーが交錯する「旅人の楽園」です。本稿では、初めての短期観光から長期滞在まで網羅する最新情報を凝縮しました。渡航準備、現地での過ごし方、インフラ事情、文化マナーといった必須事項を体系的に解説します。


最新入国・ビザ情報(2025年版)

e-Visaとe-Arrival

  • e-Visa T(観光):2025年1月から30USDに値下げ。オンライン申請後3日程度でPDFビザが届きます。​プノンペン・ポスト
  • ビザ・オン・アライバル:主要空港と陸路国境で取得可。30USD〜35USD、クレジットカード決済導入で現金不要に。​VisaVergeKhmer Times
  • e-Arrival(電子入出国カード):全入国地点で必須。フライト7日前から登録可能、QRコードを提示して入国手続きが完結します。​カンボジア電子ビザnote(ノート)

渡航ヒント

  • パスポート残存期間6か月以上。
  • 30日以内の観光はシングルエントリーで十分。
  • 陸路越境は待ち時間が長いので、時間に余裕を。

ベストシーズンと気候

  • 乾季(11月〜5月):晴天率が高く遺跡観光に最適。特に11〜2月は平均25℃前後と過ごしやすい。​ロンリープラネットWorld Travel Guide
  • 暑季(3月〜5月):日中40℃近くまで上昇。ホテルや移動で空調を確保すれば混雑を回避可能。
  • 雨季(6月〜10月):夕方にスコールが1回。緑が映え、ホテル料金が下がる穴場シーズン。​World Travel Guide

健康・安全対策

  • ワクチン・医療:A型肝炎・破傷風は推奨。市販薬より海外旅行保険+クレジットカード付帯保険を併用。
  • 治安:旅行勧告は「レベル2・注意強化」。スリ・ひったくりは人通りの少ない夜道で多発。​旅行.state.gov
  • 水と食事:水道水は飲用不可。ペットボトル水(0.5USD/1.5 L)が安全。屋台は加熱調理品を選択。

通貨・予算の目安

項目参考価格(USD)
市内トゥクトゥク初乗り1.0
ローカル食堂(定食)3.0
カフェラテ2.5
四つ星ホテル1泊60〜120
  • カンボジア・リエル(KHR)も流通しますが、USDが事実上の基軸通貨。釣銭1USD未満がリエル建てで戻ることが多いです。
  • ATMは24時間稼働、引き出し上限は300〜500USD/回、手数料4〜6USD。

交通手段と移動のコツ

  • Grab:配車アプリ。クレジットカード登録可、英語表記。
  • PassApp:現地発アプリ、シェア率トップでトゥクトゥク手配に強み。​Shes Abroad AgainKhmer Times
  • 市バス:プノンペンは全13路線、運賃0.4USD。韓国寄贈の新車両1,000台が2026年までに順次導入予定。​Khmer Times
  • 長距離バス:シアヌークビル、バッタンバンへはナイトバスが便利(10〜15USD)。

通信事情:SIMカード・eSIM完全ガイド

キャリアプランデータ量通話料金有効日数
Smart Traveller SIMTourist30GB300分(内)/30分(国際)5USD15日
Cellcard eSIMPromo20GB200分無料(4/10〜7/9のみ)7日

おすすめ滞在プラン

5日間モデル(初訪カップル向け)

  1. Day1:プノンペン王宮・シルバーパゴダ、リバーサイド散策
  2. Day2:キリングフィールド・トゥールスレン博物館で歴史を学ぶ
  3. Day3:国内線でシェムリアップへ移動、オールドマーケット散策
  4. Day4:アンコール・ワット日の出→トム→タプローム
  5. Day5:トンレサップ湖クルーズ→帰路

10日間周遊(冒険派向け)

  • 上記+カンポット胡椒農園、シアヌークビル沖合アイランドホッピング、バッタンバンバンブートレイン体験。

文化・マナーと注意点

  • 寺院では肩と膝を隠す服装が必須。
  • クメール語の挨拶「チョムリアップ・スオ」を覚えると好印象。
  • 頭を触る行為はタブー、子どもであっても不可。
  • 通貨を足で踏むのは最大の侮辱行為。

注目インフラ:新空港と観光拠点の拡大

  • テチョー国際空港(TIA):総工費15億USD、2025年7月開港予定。年間1,300万人処理能力で首都へのアクセスが一新されます。​Khmer TimesAP News
  • シェムリアップ‐アンコール国際空港:2023年開業。アンコール遺跡と直結する路線バス運行中。

厳選お土産&ショッピング

  • カンポットペッパー:世界最高峰の胡椒、黒・白・赤と種類豊富。
  • シルクスカーフ:タケオ州産ハンドメイドは肌触り抜群。
  • パームシュガー:GI認定品、自然な甘みで料理用にも人気。
  • クラフトビール「Fruits Bat」:トロピカルフレーバーが新鮮。

おすすめローカルフード

料理特徴価格(USD)
アモックココナッツとハーブの白身魚蒸し4〜6
ロックラック黒胡椒炒め牛肉+ライム胡椒ダレ3〜5
バイサイチュルーク豚肉の炭火焼き朝食セット1.5〜2
ノムパンバゲットサンド、野菜と肉がぎっしり1

高級派はプノンペンBKK1の**「Malís」、シェムリアップの「Cuisine Wat Damnak」**で創作クメールを堪能。


出発前チェックリスト

  • ビザ確認・e-Arrival登録
  • 旅程表とホテル予約控え
  • クレジットカード2枚(VISA/MASTER)
  • 予備USDキャッシュ(小額紙幣中心)
  • 海外旅行保険証書と予防接種証明
  • 軽量レインコートと折りたたみ傘
  • 変換プラグ(タイプA,C,G混在)

おわりに

多様な文化遺産と急速に進化する都市インフラが融合するカンボジアは、旅の計画次第で何度訪れても新鮮な感動をもたらします。本稿を道標に、あなたの「次の旅」が安全かつ充実したものとなるよう祈念します。どうぞ良い旅を。